現在、日本国内でISO9001を取得した企業、事業所は合計33,107社にのぼります。あなたの会社ではどうでしょうか?

かつて地方の中小企業でも右へならえで取得したISO9001。しかし、最近では普及率は低下し、更新監査を受けない企業まであるそうです。

なぜ、せっかく取得したISO9001を更新しないのでしょうか?その理由とは?

 

ISO9001更新監査を受けない理由とは?

なぜせっかく取得したISO9001の更新を止めてしまうのか?

答えは簡単です。その企業のトップが、更新しても何もメリットがないと判断するからです。

 

「せっかくISOの認証を取得したのに、ちっとも仕事は増えんし利益も増えん!」

「生産には関係ない仕事が増えすぎて人件費がもったいない!」

とまぁ、こんなことを言う社長さんがいるわけです。

 

一方、社員は社員でこう言います。

「余計な文書記録ばかり作らされるし、監査前になると本来の仕事が全くできない。」

「まどろっこしい手続きばかり増えて、合理化に逆行している。」

 

こんな社長、社員のいる企業では更新監査は見送り、もうISOは不要!と言うことになってしまうのです。

 

そもそもこの手の企業は何のためにISOを取得したのか、そのスタート地点から間違っています。主要取引先から取得を取引条件に指定されたとか、競合ライバル社が取得したとか、そんな理由です。

 

本当に自社の品質管理、品質保証体制を見直し、顧客満足につなげようと思って取得した訳ではありません。

言わば「仕方なしに取得した」「外圧だけで取得した」そんな企業に効果も成果も出ません。ついには更新監査中止となる訳です。

 

考える人
ISOを取得しても、ちっとも仕事は増えんし・・・

 

それでもISO9001は効果あり!

私がかつて勤務していた半導体工場でも実は半ば外圧によってISO9001を取得しました。2000年の初めの頃です。

何しろ地方の中小企業であっても半導体業界は世界とつながっています。国内企業からの発注でもエンドのお客様が海外の場合、当然のようにISO認定工場であることが要求されます。

当時、半導体業界はどこもISO9001の認証なしに取引してもらえる状況にありませんでした。

 

しかし、私の会社では取得の理由は外圧であっても、いったん取得して社内に体制が出来上がると次々に効果を生み、完全に定着しました。

これは経営トップがISO導入の意味を根気よく社員に説いた結果です。単に取引先の顔色を見てのISOではなく、自らの手でISOを活用し顧客満足につなげるんだと言う信念があったように思います。

 

QC活動
意識が変わると組織の壁も乗り越えられる

 

私自身もISO9001取得による改善効果を実感しました。例えばプロセスアプローチ、プロセスの監視です。

自分の業務分掌なるものを作成、その中で業務を細かくプロセスに分解します。そして、プロセスの1つずつに責任と権限を明確化していきます。

 

この業務分掌、プロセスアプローチによって自らの業務がいかなるプロセスによって構成されているのか明確になります。

そして自らの責任と権限もしっかり分かります。

 

更に言えば、自分の業務分掌だけでなく、他部署、他の責任者のプロセス、責任と権限が明確に把握できるようになりました。

それまでも分かっていた積りだったことが文書化されて初めて明確になりました。

 

このプロセスアプローチは社内に大きな変革をもたらしました。誰がどんなプロセスを抱え、どんな責任と権限を持っているか一目で分かるようになりました。

つまり役割分担、責任の所在、権限の行使がシステム的に運用されるようになったのです。

 

何かの問題が発生したり、クレームが起きたとき、即座に担当部署、責任者が分かります。グレーな部分がないのであいまいなまま時間だけが過ぎると言うことがありません。

また対策を講じる責任と権限も明確になっているため、動きが早くなります。

 

工場全体の業務分掌が公開され、社員に周知されたことのメリットはとても大きなものがありました。ISO取得前に比べて社員一人ひとりが自分の仕事に責任を持ってあたるようになりました。

それは以前が無責任だった、と言うことではなくプロセスと責任、権限が明確になっていなかった、と言うことです。

仕事のパフォーマンスはこうした意識付けでかなり変わります。

 

日常の生産活動における品質保証や、万一クレームを発生させた場合の対処も随分と変わりました。それまでの対応がいかにザルだったか、思い知りました。

過去は品質保証に対するシステム対応と言う概念が薄く、その場しのぎだったと強く感じました。

 

ISO9001導入の効果を語ればきりがないくらい話せるのですが、要は間違いなく顧客満足度の向上に大きく貢献しました。

それはISO9001導入によって社員の意識が変わったからです。恐らく導入から3年くらいかかって意識改革が出来たと思います。

 

ISOに限りませんが、こうした大きな変革はトップダウンで、それもトップの強い意志の力で推進するものだとつくづく思いました。

経営トップの考えひとつで決まる
ISOが定着するかどうかは経営トップの考えひとつで決まる

 

まとめ

あなたが品質管理、品質保証の仕事に就いているなら、ISOの導入、運用、監査については中心的役割を果たしてることでしょう。

社内に定着させ、スムーズな運用を実現するには大変なご苦労もあるでしょう。

 

経営者がISOを十分に理解し、またISOを活かす道を自らの頭で考えているなら、きっとあなたの努力も報われることでしょう。

 

しかし、トップに理解がない、何のビジョンもない、そんな会社ならあなたの苦労は報われません。この先も明るい見通しは難しいかも知れません。

もしかしたら、本当にあなたが活躍出来る場所は他にあるのかも知れませんね。